第二期臨床仏教師 認定式・記念講演開催
◆5人の新たな臨床仏教師が誕生
生きていく上で、私たちはさまざまな困難に直面しなければなりません。もしもひとりでは乗り越えられないような大きな苦しみがやってきたとしたら・・・。
「臨床仏教師養成プログラム」は、不登校・ひきこもり、虐待をはじめとする子どもや青少年の問題、そして自死問題、被災者がかかえる問題、さらには誰もが避けられない「看取り」にまつわる苦悩など、現代のあらゆる生老病死の課題に寄り添う仏教者を養成するために開設しています。今回認定者を出した第二期のプログラムは、2014年の10月より始まりました。第1ステップの座学(30時間・83名受講)、第2ステップのワークショップ(40時間・34名受講)、そして最終ステップとなる、病院や社会福祉施設等の臨床現場での臨床実習(100時間以上・8名受講)のあとの最終考査を経て、この度、晴れて5名の方が第二期臨床仏教師としての認定を受けました。
◆臨床仏教師認定式・記念講演会
3月30日に開催された認定式では、多くの方々の祝福を受けながら認定状の授与がなされました。また、認定者一人ひとりが関係各所への謝意を述べながら今後の活動への抱負を語りました。
「これからご縁をいただくであろう目の前のその人に対して和顔と愛語をもって、慈しみのこころをこめてお話しをお伺いしたいです。(内山美由紀さん) 」「講座で学ばせていただいた慈悲や平等の心をもって、これからの青少年教化の歩みを進めてまいりたいです。(岡部幸子さん)」「今日の日を新たなスタートに、また自らの足で、生老病死の現場に向かい、悩み苦しむ方々に寄り添ってまいりたいです。(星光照さん)」「臨床仏教師という名前をいただくことの責任を感じ、身が引き締まる思いです。無力でありながらも仏性を信じ、誠実に、ひたむきに、苦を抱える方々とこれからも向き合っていきたいと思います。(眞木興遼さん)」「すこしでも患者様、苦を抱える方の気持ちに寄り添い、いただいたご縁に報いてまいりたいです。(森脇宥海さん)」
花園大学総長の河野太通先生は、ご祝辞として阪神大震災の際のエピソードをお話しくださり、一人ひとりの尊い「いのち」を前に、仏教者として何ができるかという深い問いを投げかけられました。
また、続いて行われた記念講演会では、「看取り医がブッダに学んだこと」として、東京大学名誉教授の大井玄先生が、仏教と医療・科学の接点を解き明かしながらお話しくださいました。
自らの行いによって、明日の世界が変わっていくかもしれない。笑顔を向けたら、相手もうれしい気持ちになるかもしれない、すこしほっとした気持ちになるかもしれない・・・。人のこころに接したときに、自らの弱さ、無力感と正面から向き合わなければならない時もしばしば訪れます。
相手のこころの内のすべてがわかるわけではないからこそ、日々、お見守りをくださる仏さまよりお教えをいただきながら、謙虚なこころで生きる大切さにあらためて気づかせていただきました。
「今また新たに医療者と仏教者が区別されることなく、この世をよく生きるという同じ目的のために尽くせる時代がすぐそこまで来ていると思います。」
最期に、臨床実習を受け入れて指導にあたってくださった国立病院機構四国がんセンターの谷水正人院長は、臨床仏教の未来へ向けて、このような言葉を述べられました。現在、すでに認定された第一期臨床仏教師の方々は、国内外問わずさまざまな臨床の現場で活動されてます。第二期の方々が認定されたこの日を新たなスタートとして、こころの苦しみを和らげられる方が、全国に、そして世界に一人でも多く増えたらと願うばかりです。