臨床仏教師は、人生の生老病死にまつわる現代社会の苦悩と向き合い、専門的な知識や実践経験をもとに行動する仏教者のことです。
近年、社会での仏教者のあり方は再考されつつあります。同時に、貧困・自死・ひきこもりをはじめとした社会問題やこころのケアに取り組む仏教者の姿が数多く目にされるようになりました。一方で、現場で活動する方々からは、仏教者の社会貢献活動について総合的・体系的に学ぶ機会が少なく、自らの信仰や信念を現場のなかでどのように活かしていくべきなのかを模索しているといった声が挙がっています。
信仰心を礎として社会問題への理解と専門性を兼ね備えた仏教者の輪が広がり、支えを必要とするひとりでも多くの人が、その苦しみを和らげられることを切に願っています。
臨床仏教研究所では臨床仏教師の養成を目指し、養成プログラムを開催しています。養成プログラムを通じて、仏教者の方に教育・福祉・医療などの分野において、仏教者が臨床的・実践的に現場に関わる際に今後必要な方途を学んでいただきます。
臨床仏教研究所では、キリスト者が主に進めてきたCPE(Clinical Pastoral Education/臨床牧会教育)プログラムや台湾における臨床仏教師の研修制度をふまえて、現代人の生・老・病・死にまつわるさまざまな苦の現場で仏教精神に基づきケアする臨床仏教師の育成を目指し、資格認定を行います。
現代社会の問題や課題について、実際に取り組みを行っている仏教者や専門家による「座学(臨床仏教公開講座)」(STEP1)を通じて仏教者として現代社会の課題への向き合い方を学んでいただくほか、現場で活動するにあたり、対人関係の場面を想定したケアの技術取得を目指す「ワークショップ」(STEP2)、そして養護施設や病院、各活動団体等の現場における「実践研修(OJT)」(STEP3)など各カリキュラムを修了し、考査を経て臨床仏教師の資格が認定されます。