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2015/4/28

看取り医が考える大往生《つながりの回復と意向の尊重》

 全青協では、今年度より新しく「生と死を見つめる集い-今日一日を輝いて生きるために-」が開講されました。やがて迎える旅立ちのときに、微笑をもって「ありがとう」と言える自分自身であるために、生と死について、皆様と一緒に様々な視点から学び合ってまいります。


初回となる4月9日には、看取り医の大井玄先生をお迎えし、先生ご自身がご家族を看取られたときの経験なども交えながら、「看取り医が考える大往生《つながりの回復と意向の尊重》」と題し、ご講演をいただきました。
大井先生は、看取りの段階で最も重要なことは「看取られる人の不安・恐怖と身体的苦痛を除き、看取る家族の安心と達成感を作ること」であると考えていらっしゃいます。
人間は死を目前にしたとき、大きな不安や恐怖を感じます。それは「つながりが切れていくことへの恐怖」と「希望する終末を迎えることのできない不安」であるといいます。そこで、看取りにおいて、「つながりの感覚を強める努力をすること」と「終末期医療に対する患者の意向を確かめること」の二つが大切になります。
そして、「つながりの希求の方向性」や「自分の求める終末のあり方」は人それぞれに異なるため、「その人がどういうつながりを求めているのか」、あるいは「亡くなる人がどのような終末を迎えたいのか」を見きわめることが大切です。そのためには、生きている間にその人の意向を聞いておくこと、生きている間からコミュニケーションをとっておくこと、すなわち、生きている間からつながっていることが重要であり、亡くなる人の意向を尊重できたということが、看取る家族の安心感や達成感にもつながっていくそうです。
また、先生は宗教的な意味におけるつながりにも言及されました。これから亡くなっていく人に対して、つながりの感覚を作ってあげること、安心させてあげることは、宗教の大きな役割の一つであり、日本の仏教では、このところがいまだ足りていないというご指摘もいただきました。
後半は、「大井先生に質問をしたいグループ」と「僧侶を囲んでお話をしたいグループ」に分かれ、それぞれ多くの意見を交換し、様々な思いを共有することができました。


大井先生のお話を通し、これから生と死について考えていく中で"つながり"が大きなキーワードになると感じました。大井先生は、必ず相手の目を見て、一人ひとりに語りかけるように、優しく穏やかな笑顔でお話をされており、先生が日頃から「つながり」を意識する中で生きていらっしゃることが伝わってきました。初回ということもあり、初めは少し緊張していた参加者の方も、先生の笑顔に惹き込まれるように、熱心に頷きながらメモを取っていく姿が印象的でした。先生のご講演は勿論のこと、先生の人柄も含めて、温かい安心感と達成感のある第一回目の「生と死を見つめる集い」となりました。

 

 

 

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