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貧困問題
ともに歌おう、ともに生きよう! ー「りんりんふぇす2015」開催!ー
大人も子どもも、生活困窮者も、すべての人が楽しめる一日を----。そんな音楽イベント「りんりんふぇす2015」が、10月4日、東京都内で開かれた。会場は、東京・青山にある浄土宗梅窓院。お寺の境内にある祖師堂は、音響設備が備えられた本格的なホールとなっている。 10月にしては汗ばむほどの陽気となったこの日は、お年寄りから子ども連れまで200人以上が集った。境内には、自家焙煎コーヒーの販売ブースをはじめ、無料で提供されるおにぎりやベトナム風揚げ春巻きなどがにぎやかに並べられ、それらをほおばりながら方々で談笑の花が咲いていた。 この日、出場するアーティストは全部で6組。アコースティックなピアノの弾き語りで、ライブの幕は上がった。 トップバッターを務めたのは、このイベントの発起人でもある寺尾紗穂さん。黒髪のロングヘアが印象的な女性ミュージシャンだ。ホームレスの人が販売者となり、その売り上げで自立を応援する雑誌「ビッグイシュー」をもっと多くの人に知ってほしいという思いから、他の支援団体の協力を仰ぎ、5年前にこのイベントを企画した。
▽▽ ホームレスの人に仕事と誇りを
「ビッグイシュー」は、1991年にロンドンで生まれ、日本では2003年に創刊された雑誌だ。都会の交差点などに立ち、雑誌を高く掲げて販売している、オレンジ色の帽子の販売員さんを、見かけたことがある人もいるだろう。 1冊350円の雑誌を売ると、半分以上の180円が彼らの収入となる。その収入を元手に雑誌を仕入れながら、生活を立て直していくというしくみだ。 困窮者にただお金やものを提供するのではなく、仕事による誇りと自信を取り戻してもらうなかで、人との関係性をつなぎ直すというねらいが、そこにはある。ハリウッドスターや政治家、スポーツ選手など国内外の著名人もこの趣旨に賛同し、表紙を飾ってきた。 「ビッグイシュー」はただの善意へのお礼ではない。同誌も謳っているように、平和、環境、政治などをテーマにした社会派の、読み応えのある雑誌なのである。
▽▽「一人じゃない」と思える一日
この日のイベントには、若い音楽ファンをはじめ、ビッグイシュー販売員や、元ホームレスの人たちも来場していた。協力団体には、アパート入居を支援するなど、全般にわたり生活困窮者のサポートを行う「NPO法人もやい」、そして生活困窮者へおにぎりを配る活動をしている「ひとさじの会」などが名を連ねた。 ライブの合間には、「子どもの貧困」をテーマに座談会も行われた。 「若くしてビッグイシューの販売者になる人は、たいてい貧困家庭の出身か、社会的養護を受けてきた人なんです」と、貧困の連鎖に関する実情が語られる。また、母子家庭の話題にあっては、「地域で不安を抱えて過ごしています。あいさつでもいいんです、私たちにぜひ声をかけていただけたら......。自分がここにいてもいいんだと思えますから」という当事者の切なる声も紹介された。 そんな大人たちを横目に、みんな真剣な顔でナニやってんの? といった風情の幼い子どもたちが、席の合間を歩き回っている。その姿を、目を細めて見守るのは高齢のビッグイシュー販売員さんたちだ。りんりんふぇすの「りんりん」は、「輪」と「隣」の二つの意味がかけられている。 ここでは誰も眉をひそめたりしない。みんなで関わりあって、一緒に生きよう。だって、誰もが迷惑をかけ、かけられてきて生きている存在だから----。1人じゃないんだと思える、こんな日があってもいい。帰り道も、足取りは軽かった。