東日本大震災支援
2012.05.19
新緑の中"花"を囲んで ――石巻市立保育所花まつり・お茶&生け花会
新緑まぶしい5月の陽気の中、全青協スタッフは被災地の皆さんと〝花〟いっぱいの時間を過ごすため、石巻市を訪れていました。
花まつり&お楽しみ会にワクワク!
「覚えてる~?」と再会を喜びつつも、久しぶりに会う石巻市立鹿妻保育所の子どもたちが元気に過ごしているか、スタッフは期待と不安を膨らませての訪問となりました。新学期を迎え前回よりもちょっぴり大きくなった子どもたちは、今日は何して遊ぶのかなぁ? と興味深々の様子です。
今回は、1カ月遅れで開催されることの多い東北の花まつりにあわせ、お釈迦様に甘茶をおかけしてお誕生をお祝いしました。花御堂には色とりどりの生花が飾られています。「はい、なむなむですよ。そう、上手ね! いい子になりますように......」甘茶を注ぎ、合掌する子どもたちを先生とスタッフが見守ります。震災後、しばらくお寺の避難所で生活をしていたという子どもは、こちらが促すまでもなく、自然に合掌して小さな頭を下げました。そんな様子に思わず涙ぐむスタッフも。
また、この日はお楽しみとして、全青協会員のお坊さんによるゲームやマジック、パネルシアターが披露されました。子どもたちが真剣にパネルを見つめるなかで、ベテランのお坊さんがところどころ愉快な仕掛けを繰り出すと、「わぁっ!」と歓声があちらこちらであがります。興奮して思わず立ち上がってしまう子も多く、その素直な反応に、スタッフ一同はホッと胸をなでおろしました。
被災地では、震災で受けたこころの傷で、感情を表すことが難しくなってしまう子どももいます。遊びの輪を大切にしながら、子どもたちの成長をつぶさに見守っていくことが今後も必要になっていくことでしょう。
色鮮やかな花を愛でて
自然な形での見守りが必要なのは、子どもたちだけではありません。別の日には高齢者の孤立防止のため、全日本仏教婦人連盟と洞源院叢林舎(石巻青少協)の皆さんと一緒に、お茶会&生け花会を実施しました。
この日会場となった石巻市小竹浜仮設住宅の集会スペースでは、区長さんをはじめ約20名ものご婦人の方々が「待ってたよ~」と、にこやかに招き入れてくれました。そこで、テーブルの上に広げた懐紙にきれいな和菓子を並べ、用意した白い茶器に手際よくお抹茶をたてていきました。「あら~上品ねぇ」と、参加者は本格的なお茶会の雰囲気に少し緊張の混じった表情で、くるくると茶器をまわして濃緑のお臼を堪能している様子でした。
その後の生け花では、洗った茶器の中に剣山を入れた即席の花器を使って、立花に挑戦です。
バラ、カーネーション、スターチス......親しみのある花や枝を用いて、上下前後、わずか20センチ四方の空間に、それぞれオリジナルの世界を創作していきます。
あるご婦人は、余った花の太い茎の空洞のなかに小さく細い花を入れて生ける裏技を習得し、ご満悦の表情を浮かべていました。
「今まで野花をどうやって生けようか悩んでてさ?。これなら剣山に刺さるねぇ?」
娯楽が少ない山間の仮設住宅でも、まわりを見渡せばタンポポ・シロツメクサなど、日常の中にお花はあふれています。今回の生け花会は、野草を上手に使うことで普段の生活に彩を添える工夫を学び、自主的にこころの潤いを補ってもらうきっかけとなればとの意図もありました。
最後はみんなでハーブティーを飲みながら、部屋中にあふれた生け花作品のミニ展覧会となりました。一つとして同じものはない作品はどれも温かで、それ以上に参加者のみなさんの明るい笑い声が、私たちスタッフのこころをも勇気付けるひとときとなりました。