東日本大震災支援

2015.11.19

子ども〝大縁日〟開催! --被災地域の笑顔のために-- 

 全青協では7月28日、宮城県石巻市渡波地区の万石浦小学校において、震災以降恒例となった夏祭り子ども会を開催しました。震災以後、学童クラブに参加する子どもの数はどんどん増え、これまでの教室ではとても入りきらないことから、今年は広い体育館をお借りしての実施となりました。
 夏祭りの準備を待ちきれない様子の子どもたちは、開始前から続々と体育館に集まってきて、元気に走りまわります。
 この日は全青協のスタッフ以外にも、静岡県内の仏教婦人の会「無憂樹の会」や、浄土宗宮城教区災害復興事務局のお坊さんも駆け付けてくださり、さまざまな催し物を用意してくださいました。

◆「やりたい」がかなう一日
 真夏日のこの日、まず子どもたちが向かったのは、夏の必需品のうちわに好きな絵を描いたり、かわいいシールを貼るなどして、世界にたった一つのうちわを作るコーナーです。またその隣には、お茶どころの静岡から、たくさんのお煎茶を用意して子どもたちに飲んでもらおうというコーナーも設けられました。
 これは、ペットボトルのお茶に慣れてしまっている子どもたちに本物のお茶を味わってもらいたいという、無憂樹の会の〝おばあちゃま〟方による願いが込められています。うちわをパタパタしながらも、口にしたことがないような甘く美味しいお茶に、子どもたちから笑みがこぼれました。
 お坊さんたちは、手慣れた手つきでチョコフォンデュやわたあめを用意し、甘ーい匂いで子どもたちを誘いました。チョコをおかわりした子は満足気な表情で口に頬張り、わたあめを割りばしに絡ませようと並ぶ子は、ドキドキした表情で前の子が作るのを眺めています。
 ほかにも、かき氷やバルーンアートのコーナーが設けられましたが、どこも大盛況です。6つのブースに100人を超える子どもたちが楽しげに行き来する様は、あたかも縁日のような雰囲気でした。
 また、チーム対抗のスイカ割りは、炎天下の校庭で行われましたが、流れる汗もなんのその、みんな夢中になって目隠しした友達にアドバイスを送ります。美味しいスイカを食べながら、ニコニコの笑顔があふれました。

◆〝希望〟を摘み取らないために
 そんな子どもたちを眺めながら、この笑顔がずっと続くことを願わずにはいられませんでした。被災地域の児童館や学童保育に預けられる子どもが急激に増加しているのは、津波ですべてを流された後、生活の再建に必死な家庭が多いことや、震災後の離婚の増加で片親家庭が増えていることなど、経済的な問題が大きな原因となっています。
 特に石巻市における要保護児童の数は、平成25年度の時点で震災前の3倍以上となっています。これに加えて、今年度いっぱいで国の定める集中復興期が終了するため、被災地におけるあらゆる支援が減少し、被災地の子どもを取り巻く環境がますます厳しくなっていくことが予想されます。
 それでも、小学生のうちは公的な支援が受けやすいものです。問題は、高校や大学への進学を考える歳になったとき、経済的な理由から進学を断念せざるを得ない子が一層増えてしまうことです。
 自分の家の経済状況を理解している〝いい子〟が、将来の夢や希望を口にしなくなっているなどという話も耳にします。真に復興を遂げるには、その町の将来を担っていく子どもたちの教育が欠かせません。何よりも、子どもが将来進みたいと思うような選択肢を一つでも用意してあげることが、子どもの幸せを考える上で肝要です。
 この子たちの笑顔のために、全青協では子ども会の他にも、彼らの〝選択肢〟が広がるような奨学支援を積極的に行ってまいります。今後もご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。(岳)

被災地の子どもたち―外から見えてこない現状とは? 災害支援
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