災害緊急支援

2024.09.10

あおぞら奨学生決定&能登支援始動!

◎ 申請家庭の切実な声
 全青協と関係2団体が運営している「あおぞら奨学基金」では、2012年度より東日本大震災で被災した東北三県にて、経済的な貧困状態にある家庭の子どもたちを対象に、月1万円、年間12万円の返還義務のない奨学金を供与しています。
また、今年度より令和6年能登半島地震にて被災した子どもたちも対象として、支援を開始させていただくこととなりました。
 今年度も4月より、被災地域の公立高校や各県の教育委員会等を通じて奨学生を順次募集いたしました。現在は東北三県の選考を終え、石川県の選考を行っています。東北と石川県を合わせて100名程度の奨学生を採用する見込みとなっております。
私たちが支援を続けている被災地域の低所得世帯のご家庭の多くは、ひとり親世帯、特にシングルマザーの家庭のお子さんです。申請書類には、こうした家庭の切実な事情がつぶさに記されています。
 震災により家屋が全壊し、その後シングルマザーである母親が体調を崩して入院し、今もそのままの経済的困難が続いているご家庭や、養殖業を営んでいたものの津波で自宅を失い家業の再建もできず、さらに父親が他界してしまったご家庭もあります。母親は仕事を掛け持ちし、80代の祖母も働きに出て家計を支えているご家庭や、また、中学生まではあった就学援助制度が高校入学と同時になくなり、昨年までと同様の収入では生活が困難になってしまったご家庭もあります。
 学校からの推薦文にも、生活保護を受給している家庭の生徒について、「経済的支えが乏しく、その影響として集金が必要な校外学習を欠席するなど、学習活動の妨げとなっている」と記述がありました。
 本人たちが真面目に学校生活に打ち込みたくとも、学習できる生活環境が整っておらず、彼ら、彼女らの毎日や将来に明るい兆しが見えにくい現状が、震災から10年以上経ってもなお、続いています。

◎ 進まない復興―石川の実情は
 石川県からの申請書類にも、その大変な状況が記されています。
 津波によって市にあった自宅が全壊し、先行きのわからないまま内陸の町へ引っ越さざるを得なくなったシングルマザーのご家庭や、同じく津波や火事で自宅兼店舗が被害に遭い、仕事の再開の目途も立たないまま避難生活を続けているご家庭もあります。
 部活動で優秀な成績を収め、全国大会も視野に入れている中、震災によっていつもの練習場所が使えなくなり、日々遠方の練習場に通うしかなく、その交通費や大会への遠征費等の支払いに悩んでいるご家庭もあります。
 能登半島の震災から8カ月ほどが経過しましたが、円安による建築資材の高騰や、建設業の人手不足もあり、残念ながら、なかなかハード面での復興も進んでいないようです。安定した生活基盤が望めないなか、震災前から続けていたボランティア活動を、自身が被災した後も変わらず続けるなど、毎日の生活を必死に頑張っている高校生たちが大勢います。
 さらに昨今では、食料価格など日常的に影響のある生活費が急激に上昇しており、被災地の各ご家庭は家計の工面に大変な思いをされています。奨学生たちは、学校や家庭で、また、家計を少しでも助けるために行っているアルバイト先で、自分にできることに精一杯励んでいます。
 彼ら、彼女らがほんの少しでも安心して日々の生活に臨めるように、一人でも多くの子どもたちが、それぞれの可能性をもとに夢に向かって進んで行けるように、私たちは可能な限りの支援を継続的に展開してまいります。
 今後とも、困難な状況にある子どもたちのよりよい毎日のために、多くの方からのご支援、ご協力をお待ちいたしております。
※お問い合わせは全青協03―3541―6725まで


奨学生からのお手紙

精神的な負担が減りました
この度は、奨学生に採用していただきありがとうございます。私の家はホタテの養殖業をしていましたが、津波で家を失い、仕事の再建も難しく、両親は別の仕事に就きました。その後、両親は離婚し、今は母がひとりで家計を支えてくれています。
 母は、工場での仕事に加えて土日もバイトしてくれていますが、学校の教材費や部活動費などをなかなか支払えない状況が続いていました。奨学金をいただけることで、精神的な不安が減り、勉強や部活に集中して取り組めそうです。本当にありがとうございます。(宮城県・Kさん)

いつか恩返しを
あおぞら奨学生に採用していただき、ありがとうございます。私の家は母子家庭で、母は2つの仕事を掛け持ちしながら早朝から深夜まで働いています。80歳になる祖母も週に数日仕事に行き、私や母を助けてくれています。私もアルバイトをしたいのですが、持病があり働くことが難しい状況です。
 そのようななか、奨学金をいただけることになり、母と祖母の負担を少しでも軽くすることができるかと思うと、とても嬉しく感じています。いまは周囲の人に助けてもらうことの方が多いですが、これから学業を頑張り、将来は地元で就職して、地域に恩返しができるようにしたいです。(岩手県・Sさん)

※手紙の内容はプライバシーに配慮して再構成しています。

能登半島地震災害支援-被災した子どもたちへ教育を!
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