あおぞら奨学基金
2024.07.09
旅立ちの春を迎えて ー第12期卒業生の現在
全青協が運営している「あおぞら奨学基金」では、東日本大震災で被災した東北三県において、経済的な困窮状態にある家庭の子どもたちを対象に、月1万円、年間12万円の返還義務のない奨学金を供与しています。
この春も、おかげさまで97名の奨学生が、晴れて高校を卒業することができました。サポートしていただいた皆様にはこころより御礼申し上げます。
子どもたちには、年2回ほど、学校生活など近況を綴ったお手紙を書いていただいており、事務局等を経由して各サポーターにお届けしています。卒業した奨学生からも、左記のような喜びの声が届いています。
一方で、震災後から長く続く困難な生活の中、突然父親からの連絡が途絶え、ひとり親家庭となってしまったという奨学生や、両親が続けて倒れ、さらなる困窮に直面しているという奨学生もいます。彼ら彼女らが、経済的な支援はもちろん、あらゆる面でのサポートを必要としていることは言うまでもありません。当基金では今後も、そうした子どもたちのニーズを聞き取りながら、今、求められる支援を実施してまいります。
また、「あおぞら奨学基金」の枠組みを基に行っているウクライナ避難生徒支援でも、今春、卒業生を送り出すことができました。無事に希望する日本国内の大学へ進学した奨学生がいる一方で、単身で日本へ避難していたある奨学生は、卒業後にヨーロッパへと向かい、家族で再び一緒に暮らしていけるようになったとの報告がありました。彼らのかけがえのない高校生活の一助となれたとすれば、大変うれしく思います。
奨学金の振り込み手数料や通信費など、さまざまな経費も軒並み高騰している昨今ですが、一人でも多くの生徒たちの希望を未来へつなぐため、当基金では活動を継続していきます。
今年度は「能登半島地震」にて被災した高校生への支援も開始すべく、現在、奨学生の募集を開始しています。支援者の皆様には、引き続き運営面でのサポートを含めて、当基金が持続可能なものとなるようご支援いただければ幸いです。
※お問い合わせは全青協03―3541―6725まで
卒業した奨学生からの手紙
※卒業感想文①
背中を押してくれた「奨学資金」
温かいご支援をいただき、ありがとうございました。奨学金は、学用品代や大学の入学検定料に使わせていただきました。私は4人きょうだいで、中学生の時に母子家庭となりました。母は体調を崩してしまい、なかなか仕事に就くことができず、生活が苦しくとてもつらかったです。
それでも、第一志望の高校に合格できて、奨学金のおかげで安心して学校に通うことができました。あおぞら奨学基金は、わたしにとって背中を押してくれるお守りのような存在でした。今度は私が、助けが必要な人たちに手を差し伸べることのできる人になりたいです。(福島県・Tさん)
※卒業感想文②
地域への恩返しを目指して
3年間のご支援、ありがとうございました。私が5歳の頃、東日本大震災が起きました。自宅は全壊し、しばらくは避難所や仮設住宅で生活していました。今でも地震が起きるとパニックになってしまうくらい怖いです。毎日の生活で精一杯でしたが、奨学金をいただいたおかげで安心でき、充実した高校3年間を送ることができました。春からは看護学校に進学します。
私が看護師を目指したきっかけは、震災で多くの人が亡くなり、自分自身も被災し、人の命と向き合える仕事がしたいと思ったからです。生まれ育った宮城県で看護師となり、地域の役に立てるよう頑張りたいです。(宮城県・Aさん)
※手紙の内容はプライバシーに配慮して再構成しています。