寺子屋指導者研修会

2018.04.20

指導者研修会「SNS時代のこころへの寄り添い方」開催

 全青協では、この現代の"SNS時代"にどのようにして子どもたちの心に寄り添っていけばよいのかをテーマに、3月29日、当会の神仁主幹(チャイルドライン支援センター代表理事)を講師に指導者研修会を開催しました。

 近年、貧困や、ネグレクトなどの虐待によって厳しい環境に身を置く子どもたちは増加傾向にあると言われています。多くは自己肯定感の低下が著しく、またその多くはSNSに依存する傾向にあります。そしてSNS上で引き起こされるいじめやそれによる自死・ひきこもりも増加しており、深刻な社会問題とされています。そのような状況の中、社会全体で予防策を講じる必要があるにもかかわらず、仏教界も含めてこの問題はほとんど着手されていないのが実情です。神主幹はチャイルドラインでの自身の経験から、「子どもたちのニーズが高いオンライン相談に対応できるような体制の構築が、区に寄り添う役割が求められている宗教者が果たすべき責任となっている」と語りました。

 チャイルドラインは、18歳までの子どもたちを対象に電話カウンセリング活動を行う団体です。子どもたちの声に耳を傾け、心の居場所をつくろうという想いから、1970年代にヨーロッパで始められました。現在では世界145か国にその輪が広がっています。

 昨年では、子どもたちのニーズに合わせて、その対応方法が電話からオンライン(インターネット回線を用いて行う一対一のチャット形式)へとシフトしてきているといいます。全青協でも2004年に電話相談を開始し、同時にオンラインでの相談も受け付けるようになりました。

 電話相談とオンライン相談の相違点としては、電話では相手の声のトーンや話し方から多くの情報が得られるのに比べ、オンラインでは相手の声が聞けないために誤解が生じやすかったり、対話に時間がかかるために相談者のフラストレーションにつながったりする恐れがあります。しかし一方で、時間がかかる分、受け手がその先の対応を考える時間を多く持つことができるメリットがあります。また、「やり取りを読み返して自分の理解のあり方や、自分の言葉が相手にどのように伝わったかを振り返ることができる」といった利点もあるのです。

 こうした特性を持つオンライン相談の際に、受け手に必要となるのが「心を聴く力」に加えて、「誤解が生じた際にその誤解を解くことのできるコミュニケーション力」・「わからない言葉や文章を問い返すことのできる力」だといいます。電話とは違い相手の声が聞こえない分、相談を受ける側は相手の文字情報が持つ意味を想像・確認し、その意味を共有することが求められるのです。

 講義の後半では、オンライン相談を想定したワークを行いました。限られた文字数の中でいかにして相手の思いを受け止めるか、また、思いに寄り添った言葉をどのようにかければいいのか、受講者それぞれが悩みながら取り組んでいました。

 終了後には、「相談者の抱える悩みを想像することや、端的に言葉をまとめることの難しさを実感した」「相手からの返事を待っているときに不安になった」といった声があがり、電話とは異なった対応方法の課題を、身をもって実感していました。

 神主幹は、相談者と受け手の間で行われるコミュニケーションでは、相手の思いや感情といった情報を共有することが最も重要であり、結果的に相手の心に寄り添うことにつながるのだと力強く語りました。

 私たちの生きるこの"SNS時代"に、今後ますます増えていくであろう子どもたちに関わる問題にしっかりと向き合い、対処できる体制を社会全体で構築していくことが、何よりも私たちに求められている課題なのではないでしょうか。(福)

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「SNS時代のこころへの寄り添い方」(平成29年度指導者研修会)を開催いたします。 平成30年度指導者研修会「心が成長するとはどういうことか」を開催いたします。
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