正力松太郎賞
2022.10.04
第46回正力松太郎賞表彰式を開催しました
10月4日、全青協は東京・港区の曹洞宗檀信徒会館にて、第46回正力松太郎賞の選考報告会ならびに表彰式・祝賀会を開催しました。本賞を受賞した「淨教寺仏教青年会」(奈良県奈良市)の島田春樹代表と「NPO法人けやの森自然塾」(埼玉県狭山市)の佐藤朝代理事長、そして奨励賞を受賞した「雲龍寺集いの会」(栃木県鹿沼市)の今井俊宏代表が出席し、賞状と副賞が贈呈されました。
▼▼「生きる力を育む」諸活動
選考報告会では受賞者が登壇し、これまでの活動を映像なども交えながら紹介しました。淨教寺仏教青年会では、先々代住職の島田義昭さん、先代の島田和麿さんの想いを受け継ぎ、約60年にわたり、講演会をはじめとする数々の仏法聴聞の場を開いてきました。
子どもたちとの活動としては「花まつり」「夏休み子ども会」「秋のハイキング」「街頭募金」など、多様な行事があります。8月の原爆の日には「平和の鐘の集い」を開催し、地域の学校や教区にも呼びかけながら、戦争と平和について考える活動を行っています。他にもコーラスや写経など多世代が集う会の開催を通じて、仏教情操の涵養とこころの潤いを供することを目指し活動しています。
NPO法人けやの森自然塾は、佐藤さんが所属する明光寺の45年にわたる幼児教育の延長線上にあり、1992年に発足しました。主に小学生を対象に、自然との共生について学ぶ体験型の環境教育を実施しています。また、フランスの「フレネ教育」を取り入れ、子どもが疑問に思ったことを率直に意見交換できる場を作るなどし、主体的な学びの機会を提供しています。
選考報告会では、川の源流をたどるキャンプや、河口へのカヌー体験など、豊かな自然に触れる子どもたちのたくましい姿が映像によって紹介されました。
雲龍寺集いの会では、1993年より「夏休み子供信行道場」を開設し、さらに児童・幼児を対象にした「サラナ親子教室」などの教化活動を行っています。
昨今では、核家族化が進む社会で孤立を防ぐため、子どもだけではなく老若男女が生涯を通じて集える場として、「わいわい食堂」や「絵画教室」なども開設し、地域に密着した活動に取り組んでいます。
▼▼ 受賞者のご挨拶
祝賀会では、一団体ごとに受賞者挨拶が行われました。淨教寺仏教青年会の島田さんは、「正力松太郎先生は、幼少年期の仏教情操教育がいかに人間形成の上において大事であるかということを想われて、この賞をお作りになったのだと思います。真実の教え(仏法)、また良き師匠に出遇う感動とよろこびを、次代を担う子どもたちにお伝えしていけるように、これからも青少年育成や見護り活動に一層励んで参りたいです」と述べました。
NPO法人けやの森自然塾の佐藤さんは、「仏教の精神を子どもたちに伝えていく使命を改めて感じています。子どもたちは自然体験の中で、友だちと協力したり助け合ったりしながら、社会の中で必要とされる「生きる力」を育んでいます。これからも沢山の体験を子どもたちに提供し、指導する大人たちの研修・育成にもあたっていきたいです」と述べました。
雲龍寺集いの会の今井さんは、「お寺にいらして下さった方が笑顔で帰って行かれる、そのお姿を見送る日々は、私たちにとってかけがえのないものでした。きっと阿弥陀様も笑顔でお見守り下さっていたのだと思います。これからも労を惜しまず、多くの方のお力をお借りしながら少しずつ歩んで参りたいと存じます」と述べました。
便利な世の中となった一方で、子どもたちが多世代とふれあい、実体験をする機会は減ってきています。仏さまに見守られる安心感の中で、地域の人びとと繋がりながら子どもたちの生きる力を育む活動は、まさに現代にこそ求められるものです。受賞者の活動が多くの仏教者の道しるべとなることを願ってやみません。