正力松太郎賞
2021.03.23
第45回正力松太郎賞 受賞者が決定いたしました!!
昨年9月から12月まで公募いたしました「第45回正力松太郎賞」の受賞者が、3月2日に開催された選考委員会にて決定いたしました。
今回は、本賞2件と奨励賞1件が授賞となりました。
青少幼年を取り巻くさまざまな社会問題が取り沙汰されている昨今、青少幼年とともに、ひたむきに仏教の示す生活を歩んでいる活動者を広く紹介することは、教育や保育の現場に一つの指針を示すことにもつながります。
地道なご活動の中で子どもたちを育み、その心に仏教の種をまいてこられた受賞者に敬意を表するとともに、ひとりでも多くの仏教者が後に続くことを願ってやみません。
正力松太郎賞 本賞
上村正剛さん(埼玉県さいたま市/真言宗智山派 光岩山 釋迦院 岩槻大師 彌勒密寺住職)
上村正剛さんは、1971年より50年に亘って、み魂ひな祭りや夏の日の子ども会1泊合宿、子ども祭り等を継続して行ってきました。子ども祭りでは、本堂内に雛壇と兜等を飾り、水子や幼くして亡くなった子どもを供養するために、参加者全員でお経を唱えるほか、参道にしつらえた日本一大きな鯉のぼりの胎内を子どもたちがくぐり、心身ともに健やかな成長を祈願しています。
夏の日の子ども会1泊合宿では、毎年およそ50名以上の子どもたちが、お勤めや境内掃除、写経や阿字観の体験を通して、集団生活の中での規律や自律心を養ってきました。また、檀信徒とともにつくる月刊誌「岩槻大師」や絵物語マンガ「お大師さま」、毎月1回のハガキ伝道を縁に詩集「生きているっていいな」等の発刊や、テレフォン法話等の実施を通じて、仏教の伝道に努めています。
近年では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、疫病退散の為の「仏説却溫黄神咒経(ぶっせつきゃくうんのうじんじゅきょう)」の経本や、マスク置きなどを配布し、地域の方々に仏教情操の涵養と、こころの潤いを供する一役を担っています。
長年にわたる地道な青少幼年教化活動と、地域社会への貢献が高く評価され、受賞に至りました。
一般社団法人 タンダバハダンスカンパニィ(東京都中野区/代表 聖徳大学短期大学部教授・中野 真紀子 さん)
タンダバハダンスカンパニィは、1926年より児童舞踊の原点である「童謡舞踊」として詩(言葉)・音楽(リズム)・身体の動き(舞踊)を一つに、三位一体を主張し、幼児教育、指導者養成に力を注いできました。タンダバハとはサンスクリット語で「音楽・舞踊の神」を意味します。
長い年月を経て、その範囲は児童舞踊、児童文化にとどまることなく、教育、芸術、国際交流の分野へと発展を遂げてきました。「語り・歌・踊りで綴るお釈迦様の世界」「きょうのやくそく」等の仏教関連の舞踊作品の創作、讃仏歌舞踊の振付・上演を多数手がけ、全国仏教保育大会、海外では韓国ソウルインターナショナル青少年舞踊の祭典など、様々な場で仏教の心を身体で表現し、仏教精神の顕現とともに子どもの心と体の健やかな育成の助長に努めています。
創設者の賀来琢磨氏、良江氏の親子二代より続く「継続・努力・くじけない」のモットーを受け継ぎ、子ども達に忍耐、努力することを伝えるなど、舞踊を通じた長年にわたる青少幼年教化と芸術性が高く評価され、受賞に至りました。
正力松太郎賞 奨励賞
NPO法人 日本語の美しさを伝える会(神奈川県鎌倉市/理事長 星槎大学教授・伊藤 玄二郎 さん)
奨励賞を受賞した日本語の美しさを伝える会は、2005年より建長寺にて開催されている親と子の朗読会です。日本語の乱れが目立つ昨今、美しい日本語に触れてもらおうと、出版社のかまくら春秋社が協力する形で実現しました。毎週土曜日に行われ、16年間で800回を超えます。東日本大震災後には、被災地にて出前朗読会も開催をしてきました。
関東学院大学の伊藤玄二郎ゼミナールに所属する学生達が運営・指導等に関わり、朗読作品は夏目漱石・宮沢賢治・太宰治などの日本文学から海外文学まで幅広く、これまでに、やなせたかし氏や井上ひさし氏をはじめ、著名な作家や俳優らがゲストとして登場し、名作を読み継いでいます。会の始まりには毎回般若心経を唱え、坐禅を行うことで禅文化に触れる機会を提供し、建長寺の大切な教化活動の場となっています。
着実に回を重ね、寺社、大学、地域の三基軸と、子ども、若者、大人という多世代を結びつけ、日常にはない別格の精神世界の中で、すばらしい文学作品を通して次世代に文化や伝統を伝えてきたその活動が高く評価され、受賞に至りました。