「仏教者としての平和像」を考える集い

2003.06.27

第6回勉強会

【Part1】平和行動事例に学ぶ仏教者の可能性

講師:阿満利麿氏(明治学院大学)

6月27日、『仏教者としての平和像を考える連続学習会』が、東京・築地本願寺伝道会館の一室で行われました。最終回となる今回は、全6回で学んできたことを踏まえて、仏教者として平和のために具体的にどう行動すべきかを考えました。
初めに、明治学院大学国際学部教授の阿満利麿さんに、「平和行動事例に学ぶ仏教者の可能性」と題して講演をいただきました。

阿満さんは、明治末期、軍政に傾いていく日本の中で社会に積極的に発言し、行動した仏教者の事例を紹介しました。中でも、近代思想史に重要な足跡を残した「新仏教運動」を中心に、仏教者が社会に、とりわけ平和のために行動することの意味と意義を説きました。

また、仏教やディープエコロジーの研究・活動を行っているジョアンナ・メイシーの言葉を引いて「(「新仏教運動」のような宗教的社会活動の)「燃え尽き現象」を克服する方法こそ仏教の中にある」と仏教の可能性を示唆しました。挫折し、絶望したとき、その絶望を受容することで他者とつながることができるとするメイシーの主張は、仏教の「縁起」に通ずるというのです。そして、そのつながりの中で人から力を得られ、「シナジー(協働作用)」が生まれます。組織はそのためにあり、仏教者の「サンガ」はその原型であると阿満さんは指摘しました。

阿満さんは、既成教団は教義に縛られて実践を怠り、「仏教」でなく「道徳」しか教えてこなかったと批判し、現代の仏教者には宗派や教義にとらわれずに行動する新しいサンガが必要であると訴えました。そして、最近の超宗派の仏教者による活動に、力強いエールを送っていました。

【Part2】平和をデザインするワークショップ

講師:神  仁(全青協)

その後、全青協の神仁が「平和をデザインするワークショップ」を行い、仏教者として何をしていくべきかを考えました。

ワークショップでは、参加者が互いを出身以外の国の人に例えるアイスブレイクの後、「100人村ワークショップ」と呼ばれるワークを行いました。世界の富を飲み物に、参加者を世界の人々に置き換えることで、一握りの先進国の人々が富を占有し、多くの人が少ない富を分け合っている現状を体感しました。そして、暴力がなくならない原因を参加者一人ひとりが考え、グループごとに、平和のために仏教者としてできることを考え、思いを分かち合いました。

全6回の学びを通して、仏教者として平和のために行動すべきだという思いが参加者の中に生まれてきたように思われます。今後、参加者一人ひとりが具体的な行動を起こしていくことで、平和への道が開けていくことを願ってやみません。(内)

(ぴっぱら2003年8月号掲載)

第5回勉強会「軍隊を持たない国コスタリカの事例と有事法制」
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