寺子屋ふぁみりあ
2014.09.01
長期化する「ひきこもり」へのアプローチ
8月7日の寺子屋ふぁみりあは、ひきこもり訪問サポート士でフリーライターの石川清さんをお招きして、「長期化するひきこもりへのアプローチ」とのタイトルでご講演いただきました。
フリーライターとして、日本とアジアの関係をテーマに取り組んでおられた石川さんは、1990年代後半から日本のひきこもり問題にもかかわられるようになり、多くの取材を重ねるとともに訪問・相談といった活動をされています。
石川さんの支援方針は、ひきこもり状態にあるご本人の良いところを見つけて伸ばすことで、社会への適応力や自信を身につけてもらうことに重点を置いており、就労をゴールとしたものではないとおっしゃいます。また、全く外には出られない、医療や福祉の支援も受けられないという状態で長期的にひきこもっているという方には訪問支援が必要であると、石川さんは強調します。
ご本人への支援で最も大変なのが、周囲とのかかわりを拒否しているため会えるようになるまでの道筋をつけることだそうです。ご本人と会えるようになれば大変さの半分は終わったような感じだと、石川さんはおっしゃいます。
その次に大変なのが働き始めてからとのことで、継続して働けるためには支援し続けることが必要だと述べられました。
また石川さんからは、具体的なアドバイスもいただきました。ひきこもり状態にあった方が職場を選ぶ際には、4~5人以下の職場で、人の移動がないところが良いそうです。さらに、一人暮らしをするならば、最初は風呂無しの物件を選ぶと良いとのことです。銭湯に行くことで対人緊張が緩和されるとともに、風呂付きの部屋に住みたいという願望が出てくるので、本人のステップアップが期待できるとのことでした。
また、長期的にひきこもっていた方は、社会経験が少ないため、お金の使い方や人付き合いの仕方を知らず、人に騙されやすいところがあるとのご指摘もありました。
毎月のように石川さんは、長期ひきこもりの若者と一緒に旅行に行く活動もされています。特に海外旅行を経験することは有効とお考えで、言葉の通じない環境で見ず知らずの人に助けられながら過ごすことは、短期間で自信を獲得し、他人とコミュニケーションが取れるようになるとのことです。
最後に、「ひきこもり支援には時間と忍耐力が必要」だと語られた石川さんの言葉に、長期化、そして高齢化しているひきこもり問題に対して、あきらめないという強い思いを感じました。