寺子屋ふぁみりあ

2010.11.03

発達障害とひきこもり 発達障害がある人の社会における生きにくさから支援を考える (3)

今後に向けて

現行施策において、青年期、成人期支援の方向性としては一般就労や社会的自立が掲げられていますが、私どものセンターでの相談支援の実際から言うと、社会参加支援のあり方を多様に考える必要性があると思っています。

まず、従来からの「社会の価値観や枠組みに適応させることのみを優先させた支援発想を変え、本人たちの良さを活かすための緩やかで現実的な社会参加ができる居場所(出来れば働く場)を多様に創出できると良いと考えます。
「働く」とは企業に組み込まれることだけではなく、他者との関係性において自分を知り自分を活かしていくことでもあります。自分の好みや考えだけではなく、人から言われたことを理解し、それに応えようとしていかなければならないのです。できればそういう体験を確実に重ねられる場を、家庭と社会の中間点に確保できないかと私たちは考えています。

今、東京都ではひきこもり支援の取り組みが積極的に行われていますが、これらの取り組みもこのことに繋がることと思います。 次に、本人を取り巻く人への支援(対応法と心のケア)も必要です。本人にかかわる家族や学校や職場の関係者など、お互いを行き詰まらせないように、つきあい方、暮らし方の工夫が実現できるとよいと思っています。

私たち発達障害者支援センターの基本姿勢としては、発達障害がある人の立場からこの社会をとらえ、彼らの苦労を知り、ある時は社会からの守りの盾となり、ある時は社会の側のことを解説し社会への橋渡しをすることであると思っています。
今後の活動の重点目標としては、社会の中に、彼らの生活実態を知り、好意的に受けとめ、人としてつきあい応援してくれる人を確実に増やしていきたいと思っています。

(『寺子屋ふぁみりあ』講演より収録)

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