寺子屋ふぁみりあ
2019.02.07
自分の時間軸で生きるということ
2月7日、築地本願寺において寺子屋ふぁみりあの2月例会が開催されました。今回は「自分の時間軸で生きるということ」というテーマで、全青協スタッフ二名が講演をさせていただきました。講演の後、同常任理事・神仁をコーディネーターに、質疑応答を行いました。
以下はそれぞれの抄録です。
<スタッフ講演1>
私は生まれつき多くの発達課題を抱えており、子どもの頃は同級生にからかわれてばかりの日々でした。なんとか定職には就けましたが、入社後、出向先でのパワハラやストレスで心身の不調を来し、心療内科に駆け込み、短期間で退職しました。
しばらく家に閉じこもりがちの生活が続きましたが、ある日、ひきこもりをテーマにしたTV番組を見て、己の当事者性を自覚しました。大書店で支援団体のガイドブックを購入し、自宅近くの居場所へ繋がります。これをきっかけにして少しずつ自己肯定感や社会性が培われ、また人間関係の輪も広がっていきました。その後、キャリア構築や特別支援教育に取り組む団体の職員として、働き始めました。
東日本大震災の頃に再び体調が急変し、リバウンドを引き起こします。けれどもこの時支えてくれたのは、それまでに築いてきたソーシャル・キャピタル。自分の時間軸でしっかりと生きている友人知人、緩やかな繋がりの仲間たちが、私を叱咤激励してくれました。
自分の時間軸で生きるということ。私にとってのそれは、極力多様性に富んだ人たちと互助共助の関係性を作りながら、形の無い資産を貯蓄し、危機的な状況下でもささやかな希望を見出していくことだと思っています。
<スタッフ講演2>
私の心に残る言葉があります。「いまを一生懸命生きなさい。その積み重ねが未来になっていくんだよ」
たまたまハローワークでお会いした職員さんで、元民間企業の人事担当だった年配の方に言われた言葉です。
「将来のことを心配したり不安に思ったりするより、いまできることをやろう。いまできることから始めよう」ということを伝えたかったのだと、私は感じました。
数年前に言われたこの言葉によって、時間のとらえ方が少しずつ変わって来ました。
私は、悩んでいる時こそ、一人でいない方が良いと考えています。他人の意見を聞いてみたり、自分の考えを他人に聞いてもらったりするだけでも、発見があると思うのです。
<コーディネーターコメント>
今回のテーマは「時間」です。一日は24時間ですが、感じ方は人それぞれで、気分によっても違います。あるいは歳を取っていくと、「年年歳歳」どんどんスピードが速くなっていくんですね。スタッフとの付き合いも、「光陰矢の如し」と言いますけれど、これほど長いとは思いませんでした。
お父さんお母さん方も、自分自身の時間を持っていると思います。今回は、若い人たちの話を聴きながら、「自分の時間って何だろう」ということを是非感じていただきたいと思い、こういうテーマにしました。その意味で、スタッフの言う通り、「多様性」は大切だと思うんですね。東本願寺では近年、「バラバラでいっしょ」というスローガンを掲げています。
またスタッフが、「病の痛みを取るのではなく、痛い原因を取っていく」という話をしていました。これは仏教にも相通ずる所で、表面的な対症療法だけしていては、一回治まってもまた再発してしまうし、違う病気を引き起こす可能性もある。ですから、痛みや苦しみの原因がどこにあるのかを考えるのが、苦しみを乗り越えて行く一つのあり方になります。それを、「四諦(したい)」、「苦集滅道(くじゅうめつどう)」と言います。