寺子屋ふぁみりあ
2018.02.28
『こうありたい』と声をあげること
2018年2月1日、平成29年度第十回目の寺子屋ふぁみりあが開催され、株式会社創造集団440Hz取締役の長井岳先生に、「『こうありたい』と声をあげること」と題してご講演いただきました。
以下は講演の抄録です。
私は中学校に入学後、不登校になりました。サポート校を経てシューレ大学を修了し、当事者研究を行っています。現在は創造集団440Hzという会社で、Webデザインがメインですが、会計その他の業務も担当しています。
この会社は不登校・ひきこもり経験者が作りましたが、全員が経験者です。朝が苦手だったり、突然休んだり。困りますが、そういうことも許し合おうと。どうやってカバーし合うか話し合いながらやっています。勤務日数、給与も自分たちで相談して決めています。起業と言えばかっこいいですが、それほど左団扇という訳にはいきません。
うちの会社の稼ぎ頭は映像ですが、できることや関心のあることを仕事にして、それが上手く行ったからであって、メンバーによって変わります。「世界の教育最前線シリーズ」の中から、フィンランドの教育を取材した映像を見ていただきます。外国に行き、その国で行っている教育を長所も短所も見ると、目が開かれる感覚があります。
自分は福島から東京に来て、日々悩みながら何とか生き抜いています。人生を振り返ると、動けない駄目な自分と付き合いながら、動いてきた感じです。ある時、動けなかった状態から、少しずつ進めるようになった。進めるためには、どこに行きたいのか分かる必要がある。そして、進みたい方向に一歩でも半歩でも進む。そういう風に動いて、今に至る感じがあります。それを支えているのが、当事者研究です。
以前は、職場における自己否定や劣等感、恐怖心がありました。今は前ほどはありませんが、何故そう変わり得るのかを考えると、自分の抱えている苦しさとか痛み、不安を言葉にしたからだと思います。また仲間がいることは、とても大きいです。不登校の時期から、両親を通じていろいろな人とつながったことが、安心感を得る材料になっていました。私の場合、たった一人に話して分かってもらえたことが大きいので、そういうつながりや安心できる居場所が広がれば良いと思います。実は、このようなつながりが、今の会社設立につながっています。
NPO法人立のシューレ大学のやり方は、「自分の中から学びを創る」です。あらかじめのカリキュラムは無く、集まった学生が講座を提案していきます。月二回の運営会議で、希望者が三人いれば講座が作れます。またテュートリアルの時間があり、スタッフと一緒にやりたいことや人生を話し合い、どんな講座を受けるか考えていきます。学生が講師をやり、未経験の学生に教えることもあります。シューレ大学の映像制作プロジェクトから、創造集団440Hzが設立されました。
「自分とは何者かを問う」ことが、この大学の根本にあります。もともと持っている、自己否定や不安や孤独感。生き方が見つからない所から、本当に人とつながっていける。まず、自分で自分のことを良いと思える。自分が好きと思った所から、仕事につなげていく取り組みを行っています。お金を稼ぐのは、実際的な生活費を稼ぐ意味もありますが、世の中とつながることでもあると思っています。それが今の自分につながってくると思います。