寺子屋ふぁみりあ
2016.03.18
こころ安らかに一日を過ごすために
早いもので、今年度の寺子屋ふぁみりあも、いよいよ最終回となりました。最終回は、全青協主幹・神仁と、寺子屋ふぁみりあの司会役・藤本真教師が担当しました。
はじめに、藤本師より「こころ安らかに一日を過ごすために」というテーマで、ご自身の経験をもとにお話が持たれました。いつもにこやかな笑顔と、ユーモアを交えた温かい語り口で、寺子屋ふぁみりあを進行している藤本師ですが、僧侶になる前は個人塾を経営されていたそうです。そのなかで、講師として教える立場を経験したことによって、様々な気づきがあったといいます。
例えば、三角形の面積を求める公式ですが、パッと頭に浮かぶのは「底辺×高さ÷2」です。実はこの公式、小学生では正解ですが、中学生はこれだけでは正解とはなりません。中学生になると「底辺×高さ×1/2」と答えなければいけないそうです。小学生では「÷2」だった公式が中学生では「×1/2」になりました。同じ答えを導くための手立てが全く逆になっています。さて、これを「生きる」ということに当てはめてみると、同じように生きていても、自分の力で生きていると思うのか、周りのいろいろなもののおかげで生かさせてもらっていると思うのかで、心の持ちようや態度の在り方は変わってくるのではないでしょうか。同じ答えに向かっていても、そこに至る道のりは一つではなく、どのように向き合うかは一人ひとりが選んでいくのだと藤本師はおっしゃいました。
そしてもう一つ、x²=4という方程式があると、x=2と答えます。しかし、これにはもう一つ、x=−2という答えがあります。藤本師はこの方程式から、一見答えは一つしかないように思えても、答えはいくらでもあるということを学んだそうです。
また、たくさんの生徒と接するなかで、同じ人間でも、いろいろなご縁によって、いろいろな行動をしていくことに気づかれたそうです。
このように、個人塾時代の気づきは、仏教の教えにもつながっており、このことは僧侶として物事を考えるときにたいへん役立っているとおっしゃっていました。
藤本師は冒頭で、「仏教とはストイックに何かを突きつめる教えというわけではなく、幸せになるための教え」だとおっしゃっていました。そして、お話の最後に、
私たちは、たくさんの人とのつながりの中で生きており、人との出会いの中で自分自身が作られていきます。他人と出会うということは、自分自身に出会うということです。戦後70年が経ち、日本は物質的に豊かになりましたが、目に見える"モノ"だけでなく、目に見えない"もの"に頭を下げられる価値観を持っていることが大切なのではないでしょうか。
と、"幸せとは何か"を考えるヒントを与えてくださいました。
その後、神主幹と藤本師による対談が行われ、その中で「幸せでいられる秘訣」についてのお話がありました。藤本師は、本音を言えば、幸せそうなフリをしているときもあるそうです。「それでも、自分が幸せそうな顔をしていれば、周りも幸せになってくれると思い、できる限り幸せな顔でいるように努めいる」とおっしゃいました。一方の神主幹は、「今日一日、宗教者として悔いのない生き方ができればそれでいいと思っている。仏さまからいただいた"いのち"を、宗教者として有効活用させていただいているので」と、話していました。
会の最後には、修了証・参加証が授与され、今年度の寺子屋ふぁみりあは締めくくられました。
来年度は5月12日(木)にスタートします。一年間ありがとうございました。来年度も参加をお待ちしております。